東京ガスとパナソニックは21日、マンション向けでは初めてとなる家庭用燃料電池を発表しました。戸建て向けに限られていた家庭用燃料電池の新たな需要を掘り起こすことで量産化に弾みを付け、コストの削減と価格の引き下げを急いでいます。
来年にはこの燃料電池を設置したマンションが東京都品川区で発表される予定です。マンションの高層階にも設置できるように、従来よりも風や揺れに強い設計にしました。東ガスは「量産化によって家庭向け燃料電池のメリットが高まる」とみています。新築マンションだけでなく、大規模改修の際の設置も新たな需要につながると期待しています。パナソニック以外の電池メーカーもマンション向けに参入する可能性は高いです。
家庭用燃料電池は、東日本大震災の電力不足を契機に関心を集めましたが、高い価格や大きなサイズが普及を妨げています。政府は2020年度に140万台を普及させる目標を掲げ、1台について最大45万円の補助金を支給していますが、これまでの販売台数は約5万4000台(13年9月末時点)にとどまっています。環境保護や防災対策への高い関心に頼っているのが現状です。
東ガスとパナソニックが現在販売している戸建て向け燃料電池は、補助金を使えば100万〜150万円弱で設置できます。ただ、節約できる光熱費は年間約6万円で、耐用年数(約10年間)の期間内では採算がとれません。今回の燃料電池はマンションの分譲価格に含まれるため個別価格は公表していませんが、「まだ採算がとれる段階ではない」(東ガス)といいます。
政府の補助制度は15年度で終了する予定です。経済産業省やガス・家電業界などは16年度までに価格を70万〜80万円に引き下げる目標を掲げています。量産化によるコスト削減と低価格化、小型化がどこまで進むかが普及の課題となります。
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