政府は、老朽化した耐震性が低いマンションの建て替えを促進するため、所有者の8割程度の合意があれば、土地と建物すべて売却できるよう規制を緩和します。早ければ来年の通常国会で法整備をする方向で検討しています。マンション跡地の再開発や、不動産市場の活性化につなげる狙いもあります。
老朽マンションをめぐっては、複数の法規制がネックとなり、建て替えや地域再開発が進んでいません。現行法では、入居する借家人や担保権を持つ金融機関などの同意を前提に、所有者の人数と、所有する面積に応じた議決権でそれぞれ8割以上の合意があれば建て替えは可能です。ただ、住民同士の話し合いで手続きを進めなければならないなど、住民の負担が大きく、建て替えが進まない原因にもなっています。
一方、マンションの土地・建物を売却したり、解体して更地を売ったりする場合、民法で所有者全員の合意が必要と定められており、事実上、売却は困難です。このため、国土交通、法務両省が法整備の検討に着手しました。
国交省は今回、合意の要件を「全員」から緩和し、売却による建て替えを進めたい考えです。要件は、現行法の建て替えと同様の「8割」程度とする案が有力です。合意要件を緩和する新法を制定するか、建物の所有権や建て替え円滑化法などの法改正で対応します。
対象は、1981年の建築基準法改正前に旧耐震基準で建てられたマンション約106万戸となる見通しで、2012年末時点の全国のマンション全約590万戸のうち約2割にあたります。
政府は売却を促進するため、
(1)マンションの跡地利用時の容積率緩和など、売却先の業者が再開発に有利な条件を整える規制緩和
(2)住民の転居費用補助
なども検討しています。
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