国土交通省は18日、今年7月1日時点の基準地価を発表しました。市場に出回るお金を増やす大胆な金融緩和などを背景に、東京、大阪、名古屋の3大都市圏の住宅地は2008年以来、6年ぶりに前年より上昇しました。商業地は2年連続で上がっており、個人や企業が不動産を購入する動きが広がっています。
3大都市圏の住宅地は0.5%、商業地は1.7%それぞれ上昇しました。住宅ローンの金利が過去最低の水準であるほか、値段がさらに上がる前に買おうとする人が多く、マンションや戸建て住宅の販売が好調でした。
商業地の上げ幅は前年の約3倍となりました。好業績の企業が事務所を拡大するなど都心部でオフィス需要が高まっているほか、近郊では駅前の商業地がマンション用地として買収される事例が増えているといいます。
全国平均では、住宅地は1.2%下がって23年連続のマイナス。商業地は1.1%下落し、7年連続の下落となりましたが、下げ幅はいずれも縮小しています。
都道府県別では、住宅地は6都県で上がりました。福島の地価が上がるのは19年ぶり。東京電力の福島第一原発事故の避難者らが、福島市やいわき市など県内各地で住宅や土地を買っているためです。商業地は埼玉、千葉、京都、滋賀の4府県が下落から上昇に転じるなどして、10都府県の地価が前年より上昇しました。
ただ、地価上昇の動きはまだ限定的です。林地などをのぞく全国2万799の調査地点のうち、3大都市圏では51.5%が上昇しましたが、3大都市圏以外では上昇率は9.6%にとどまり、約8割が下落しました。
少子高齢化に伴う人口減が進んでいるほか、消費増税などの影響で、足元の景気回復の動きは弱まっています。地価の上昇が今後、地方にも広がっていくかは不透明です。
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