2014年10月24日金曜日

マンション管理組合の収益事業に課税

分譲マンションの管理組合が、法人税などを納める例が目立ってきました。駐車場の外部への貸し出しなど、収益事業を行うケースが増えているためです。納税が必要かどうか微妙な場合もあり、専門家に相談して手続きを進めて下さい。

東京都内にあるマンションの管理組合は9月から、駐車場の一部を住民以外にも貸し出し始めました。交通の便が良いことから、高齢者を中心に車を手放す住民が増え、駐車場に空きが出たためです。

想定される駐車場収入は年約140万円。ビヨンド税理士法人(東京)に相談したところ、利益にかかる法人税や法人住民税などは約40万円となる見込みといいます。管理組合では、申告の代行を同法人に依頼することにしました。

同法人によると、ここ1、2年、管理組合や管理会社から、同様の相談が月10件前後寄せられているといいます。駐車場の外部貸しのほか、屋上を携帯電話の基地局の設置場所として賃貸しているケースもあります。同法人代表社員の原氏は「修繕積立金が不足している管理組合が、少しでも収入を増やしたいと収益事業に注目するようになった」と話しています。このため、外部への貸し出しをしていても収益事業にあたるという意識が低く、これまで納税をしないケースが目立ちました。

変化が出てきた背景には、3年ほど前から、マンションの屋上に基地局を設置している管理組合が申告漏れを指摘される例が相次いだことがあります。

また、国税庁が2012年、駐車場の貸し出しについて、「住民が外部の人より優先して使えるような条件を設定すれば、外部貸しの部分だけに課税する」との見解を示しました。これで課税の範囲が明確になったことも、管理組合の納税意識に影響しました。

収益事業にあたる可能性が高いものには、ほかに企業の広告看板や自動販売機の設置などがあります。収益事業と判断されると、過去5年分を遡って納め、無申告加算税などを課せられる恐れもあります。

管理組合の会計や税務に詳しい、公認会計士の吉岡氏は「これまで申告をしていなかった場合は、納税によって管理組合の手元に残るお金が減ることになる。管理費や修繕積立金を上げたり、支出を減らしたりするなどといった対策も、同時に考えていく必要がある」と指摘しています。
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