全国で放置空き家が増えている問題で、政府は、倒壊の恐れなどが顕著な場合、税制優遇措置の対象から除外する方針を固めました。住宅が立っていれば土地の固定資産税が減額されるため、空き家放置の要因になっていました。臨時国会で成立した空家対策特別措置法(空き家法)では、周辺に危険や迷惑が及ぶ恐れが高いものを「特定空き家」と規定。これを除外対象とすることを軸に早ければ2016年からの実施を目指します。
総務省によると、全国の空き家数は2013年で820万戸。このうち、賃貸・売却用や別荘を除く「放置された空き家」は318万戸で、5年前より50万戸(18.7%)増えました。地方の人口減少や、高齢者が亡くなった後、誰も住まない家が増えたためです。
現行制度では、住宅が立つ土地の固定資産税は、敷地が200平方メートル以下の場合は6分の1などと減額され、空き家になっても変わりません。解体して更地にすると税率が元に戻るため、所有者が老朽家屋を放置する要因と指摘されていました。
空き家法では、近隣に危険や迷惑を及ぼす、特定空き家について、市区町村に立ち入り調査、解体の指導や命令、行政代執行を行うことが認められました。
国土交通省はこれらの措置に加え、特定空き家には地方税法上の優遇措置をやめることで、修理や賃貸住宅としての活用、土地の転売などを促し、危険な空き家を減らしたい考えです。
所有者には増税となるため、同省は今後、特定空き家と判断する際のガイドラインを作成し、除外対象を適切に選定するよう市区町村に求めていきます。
この問題では、全国町村会が7月、全国町村議会議長会は11月、特定空き家を減額の適用外とすることを要望。政府は、与党の税制調査会が年明けに取りまとめる2015年度税制改正大綱に盛り込むことを目指しています。その後、関係省令の改正など必要な措置を検討します。
※特定空き家とは…
臨時国会で19日に成立した空き家法で、(1)倒壊や屋根の落下などの恐れ(2)ゴミの不法投棄や害虫やネズミが発生して不衛生(3)景観を損なうなどで、近隣に危険や迷惑を及ぼすおそれが特に高いと市区町村が判断した建物。修繕や取り壊しの命令に従わなかった場合は行政代執行も出来る。
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