不動産経済研究所が12日発表した7月の首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)のマンション発売戸数は、前年同月より20.4%少ない4222戸で、6か月連続でマイナスとなりました。今後、建設コストの上昇を受けてさらに減少傾向が加速する懸念が出ています。
7月の減少幅は、6月(28.3%)よりは縮小しました。前年割れが長期化しているのは、消費増税に伴う駆け込み需要の反動に、建設コストの上昇が加わっているからです。
野村証券の調査では、マンションを含む建築物の工事費(1平方メートル当たり)は、5月に18万7000円と、1993年1月以来、約21年ぶりの水準まで上昇しました。6月も18万5000円と高水準が続いています。
特に深刻なのは、型枠工や鉄筋工などの技能労働者の不足による人件費の上昇です。公共事業費が長年、抑えられてきたため、技能労働者の数は、97年のピーク(455万人)から2013年には338万人と26%も減りました。東日本大震災の復興や景気回復による建設需要の回復に、人材育成が追いついていません。
建設資材も価格が高止まりしています。経済調査会によると、マンションなどに使う鉄筋(異形棒鋼)の7月の流通価格は、東京地区で1トン当たり6万6000円と前年同期を11%上まわっています。
コスト上昇はマンション価格に反映され、首都圏の7月の1戸当たりの平均価格は5532万円と、1992年11月(5711万円)以来、約22年ぶりの高水準でした。
ただ、今後もっと高くなるのではないかとの予想から、発売された物件の割合を示す契約率は7月に83.7%と、好不調の目安となる70%を大幅に上回っています。
不動産経済研究所は、「マンション開発会社の中には、(価格が上がるまで)発売を控える動きが広がる」と予想、14年の発売見通しを当初の約5万6000戸から、4万6000〜4万8000戸に下方修正しました。
20年の東京五輪・パラリンピックに向けた選手村建設の本格化などで、今後、建設需要はさらに高まる見通しです。政府や業界団体では女性や外国人の活用を打ち出すなど、人手不足解消に向けた取り組みを強化していますが、「効果が発揮されるのに数年程度の期間が必要」(業界関係者)との見方も多いようです。
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