来年4月の消費税率の引き上げにともない、住宅のリフォームについても所得税の減税制度が拡充されます。しかし、ほとんどの場合、増税分を補うほどの減税にはならず、税制の上では増税前にリフォームした方が得になりそうです。
これからリフォーム工事を契約し、かつ工事完了が来年4月以降になると、税率が8%に上がります。これに合わせ、減税制度も拡充されます。
リフォームに適用される減税制度は主に2種類。
5年以上のローンを組んだ場合に利用できるのが「ローン型減税」。
「バリアフリー」jか「省エネ」のリフォームをした場合、費用の2%が毎年、納めた所得税から差し引かれます。期間は改修後の入居から5年間。増税後は、50万円超の工事が対象となり、250万円まで2%の減税が受けられます。省エネ工事は、窓の断熱改修をすることが条件。
さらに、年末のローン残高(上限1000万円)から、ローン型減税分のリフォーム費用を引いた額(バリアフリー、省エネ工事で250万円を超えた分、または、そのほかの内容のリフォーム)についても1%が所得税から差し引かれる減税があります。
ローンを組む場合も、手持ち資金でリフォームする場合も使えるのが「投資型減税」。この減税では1年限りで、納めた所得税から最大で工事費の10%が差し引かれます。対象は、「バリアフリー」「省エネ」「耐震補強」の3種類の工事。
投資型減税は来年4月の増税後、手続きを簡素化し、実際にかかった費用に関係なく、国が定める標準的な工事費をもとに減税額が算出されます。耐震補強、省エネの2種類では、最大減税額がそれぞれ5万円上がります。3種類を併用した合計減税額も、最大40万円から最大70万円になります。
このように、減税の拡充があるものの、大和総研研究員の是枝俊悟さんの試算では、「ローン型減税」で上限の250万円の工事を行っても、減税額は最大2万5000円しか増えず、消費税の増税分(7万円超)に届きません。投資型減税も、ほぼすべてで同じ結果といいます。結論として、リフォームは増税前が得といえそうです。
ただし、焦りは禁物。住宅リフォーム推進協議会(東京)の平林正好事務局長は、「早計なリフォームは、割高な料金になるなど損しがち。複数社から見積もりをもらい、比較してから業者を決めましょう」と注意しています。
契約書の作成も重要です。来年の3月末までに終わらせる予定で契約しても、4月以降まで工期が延びたり、追加工事が発生したりすると、税率が上がります。その費用の扱いも事前に相談し、契約書に明記することが望ましいです。
同協議会はホームページで、「業者側の原因で引き渡しが延びた場合は、増税額を業者が負担する」といった特約例を紹介しています。
公益財団法人「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」の「住まいるダイヤル」(0570−016−100)では、減税制度が使えるかという疑問や、見積もりのチェックポイントなどについて問い合わせることができます。
また、自治体によっては、バリアフリーや省エネ工事などに、独自の補助制度があります。利用できるか調べるとよいと思います。
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